さあ、事前準備をしたところでいよいよ読書です。でも普通に読んでいるだけではあまり成果は期待できません。しっかりと成果をあげるためには以下の流れが必要です。

・著者が伝えたいことをきちんと吸収する
・目的を達成するために行う行動を明確にする

このことがしっかりできると、大事なエッセンスを漏らさず自分の知識やスキルに変えていくことができます。そこで、戦略的読書では「2度読み」を取り入れます

1度目の読み:全体をとらえる

1度目の読みで意識すること

 1度目の読みでは「全体をとらえる」ことを意識していきましょう。

 著者は「読者に伝えたいこと」があるから本を出版しているのです。伝えたいことが何かをしっかり読み取っていくことによって、書いてあることの全体像がとらえられるようになります。

「読んでいる途中で、何が書いてあるか理解できなくなってしまう……」

 そんな人も多いですよね。私もそうでした。でも、あることを意識するようになって本の内容がどんどん頭に入ってくるようになりました。

 そのあることとは……
「キーワード」「キーフレーズ」を拾いながら読む。

 本の中で何度も出てきたり、沢山の事例を使って説明している単語やフレーズ。それは本の構成で大切となってくる「キーワード」「キーフレーズ」である場合が多いです。意識して拾いながら読むようにすると、頭の中がすっきりしていきます

1度目の読みで用意するもの

用意するものは以下の通り
・ノート(①メモ用):キーワードとなる言葉を書き写す。メモとして使うので、使い古しでも構わない
・ペン:赤・黒・青の3色。消せるペンならなお良し。用途は①読みながら大事なところに印をつける②メモする
・付箋大:章のまとめを書いていく
・付箋小:2回めの読書で参照するページに貼る
・事前に準備した<決意表明>:常に意識するため読書中も近くに置く

1度目の読みの手順

1)章のまとめがある場合は、本文を読む前に読み、キーワードとなっている言葉をノートに書き写してください。
※章のまとめがなければ2)へ。

2)章のタイトルを読み「これからどんな話が展開されるのか?」を1分程度考えてノートに書き出します。どんな話が展開されるか想像つかなければ章全体を見渡してみましょう。小見出しなどにヒントがあるかもしれません。

3)章ごとに本文を読みんでいきます。目的は、著者が伝えたいことを吸収すること。大切なところに赤で線を引きながら読んでいきましょう。
 線を引いた箇所があるページには付箋小を貼ります。

4)気になる点、不明点、すぐに実施する行動については、直接青ペンで本にメモを書くようにしてください。

5)付箋大を用意し、章ごとに自分の言葉でまとめを書きます。使うペンは黒。読み返して重要なキーワードと考えられる箇所に赤ペンで囲んでください。オリジナル「この章のまとめ」の完成! 各章の最初のページに貼ります。
 まとめの文を書く際には、できるだけ短い文になるように要約しましょう。ここでしっかり「考える」作業を入れることで、本の内容が頭の中にきちんと整理されます。

本に直接書き込みをしながら読みましょう

 本に直接線を引いたり、メモを書いたりすることに抵抗ありませんか?

 私はものすごく抵抗がありました。
「書き込みなんかしたらブックオフに売れなくなっちゃうよ……」
 なんて、変なコト気にしていましたね。

 でも、本にはどんどん書き込みをしたほうがいい。
 私自身、書き込みをしていくうちに「本と仲良くなっている」気持ちになっています。そもそも、本をいつまでもきれいな状態にしておく必要はないんですよね。
 書いてあることを自分のモノにしたいのであれば、どんどん書き込んで「あなた」と「本」との距離を縮めていくことが大切なのです。

2度目の読み:線を引いた箇所をまとめる

2度目の読みで意識すること

 2度目の読みは、線を引いた箇所をまとめて、著者の伝えたことから行動に移すことを目的とします。
 本の中には、流れを把握できればOKな箇所と、行動に移したり、記憶に残したりしていくべき箇所があります。1度目の読書で全体を読んだ後なので、2度目の読書ではその後者だけを読んでいきます。

 では、どのようなことに気をつけて読んでいったらよいか、考えてみましょう。

1)すべてを自分ごとに変換して考える
2)あなたの行動ベースで考える

 どんなにいいことが書いてあっても、それを自分には関係ないと思っていたら意味ないですよね。自分ごととしてとらえるか、他人事としてしかとらえられないか。結果は全く異なる。それを意識して読んでいきましょう。

2度目の読みで用意するもの

 用意するものは、1度目の読書時に用意したものに加えて、
・ノート(②まとめ用):とっていく行動、覚えていくべき知識をまとめていくためのノートです
が必要になります。

2度目の読みの手順

1)付箋と線をつけたところをたどっていき、以下の質問を自問自答しながら読んでいきます。

「今の私だったらどんな方法で実践できるか?」
「これを実践するためには、何が必要で、どのくらい時間を確保したらいいのか?」
「どんな順番で行動すれば一番効率がいいのか?」

2)読んだら、章ごとに書いてあることをまとめていきます

 以上、「戦略的読書」にて「本の読み方」をお伝えしました。
 いかがでしたでしょうか?

 次回はいよいよ「戦略的読書講座」の最終回。読書後の復習についてお伝えいたします。お楽しみに!